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ライブ配信というと動画配信をイメージされる方もいらっしゃいますが、動画はなく音声だけで配信する「音声ライブ配信」も、動画配信と同じく盛り上がっています。今回取材にご協力いただいたのはライブ配信も楽しめる音声配信アプリのstand.fmの梶原彩菜さんとstand.fmで配信をされていらっしゃるMR.MONDOさん。場所は、東京・渋谷にあるstand.fmのライブ配信スタジオ!配信者がライブ配信しやすいように作られた配信者向けの場所で、なんと「公開配信」もできる素敵なスタジオにお邪魔してきました!
stand.fmの梶原さんは、アプリの運営だけでなく、実際に「なかのひと.fm」チャンネルで配信もされています。MR.MONDOさんは、バンド「THE NEATBEATS」のドラムとして、世界中をツアーで回られている実力派で、stand.fmでは毎週ライブ配信をされています。stand.fmでの人気チャンネル「ROYとMR.MONDOの部室ラジオ」というチャンネルは2周年記念、ライブ配信100回記念を迎えられたとのことです。ライブ配信ではリラックスした雰囲気で、プロドラマーとして活躍するMR.MONDOさんの素顔の魅力が味わえる、ということで大変人気のチャンネルです。
2時間のライブ配信を毎週続けていらっしゃるということで、「音声ライブ配信」の魅力や長く継続できる秘訣、そして、収録(事前録音)ではなく「ライブ」にこだわる理由についてもお伺いしました。
ーーstand.fmでの音声配信を始められた頃について教えてください。
<MR.MONDOさん>
始めた頃は、肩の力をぬいてやっていこうということで、ラジオにあるような「コーナー」とか「企画」を作り込むのではなく、ゆるい感じでやっていこうと思っていました。ところが、いざ始めるとなると相方のROYさんと「ちゃんとコンテンツを提供したい!」と話して、最終的には「おすすめする音楽情報を提供しようよ」と音声配信をスタートしました。しかし、初めてすぐに、ライブ配信のメインとなるコンテンツの比率が変わってしまいました。
2時間のライブ配信のうち、音楽に関する話は3分の1くらいに減ってきて、今週あったこととか、AMラジオの最初の導入のような話が多くなってしまいました。そうして気づいたら、雑談みたいな話だけで1時間10分とか経っていました(笑)。しかしそれで苦情があるわけではなく、むしろリスナーさんはこの雑談みたいな話を楽しみに来ていただいているということもわかりました。自分達が楽しいと思える話をしてリスナーさんにも喜んでいただいているのが一番ですね。
ーーYouTubeをはじめとして色々な発信媒体がありますが、なぜ音声配信のstand.fmを選ばれたのでしょうか。
<MR.MONDOさん>
自分がやりたかったことがstand.fmなら可能だと思いました。AMラジオではやりたいと思っていることを実現するのは難しいのではないかと思っていました。地上波だといろいろな制約もあります。stand.fmの音声配信は、制約がほとんどない状態で、ありのままを生配信できます。音楽ライブならではの「臨場感」はリアルタイムのライブじゃないと伝わらないので、収録配信ではなくライブ配信にこだわっています。ライブの瞬間瞬間で生まれたことを「そのまま届けたい」という意味では「音楽のライブと同じ」と言ってもいいかもしれません。リスナーさんの反応もすぐにわかる点もライブならではです。
<梶原さん>
ライブ動画の配信よりも音声配信は手軽にできて負荷が少ないので、多くの方にライブ配信の面白さを味わっていただける点が大きいです。例えば、「見え方や背景を整えないといけない」とか「動画撮影の準備に手間がかかる」といった配信者の方の悩みがありますが、音声配信だとどんな状態でも気軽にライブ配信ができるという点がユーザーさんに支持されていると思います。
ーー私も聴かせていただきました。音楽に詳しくないので単語はあまりわからなかったのですが、2時間があっという間の楽しいライブ配信でした。そして、とてもテンポが良くて心地よいと感じました。これはミュージシャンとして培われたご経験があるから可能なのでしょうか。
<MR.MONDOさん>
そう言っていただけると嬉しいです。好きなことをしゃべっているだけですが、「間合い」や「テンポ」については、やはり無意識に気を付けているのかもしれませんね。
ーーMR.MONDOさんがこれまでstand.fmで配信を行ってきて、ライブ配信の仕組みなど大きく変化したことはありましたか?
<MR.MONDOさん>
「メンバーシップ」制度(編集部注:月額費用を支払った人のみ参加できるチャンネル)ができて、継続してライブ配信をすることが安定した収益につながるという「道」ができたのは大きかったように思います。また、ライブ配信の中でリスナーさんが贈ってくださるギフティングも収益の点で大きいです。
<梶原さん>
リスナーさんに聞いていただいた時間数に応じて、配信者の方に収益として還元する仕組みもあります。MR.MONDOさんのライブ配信は、ギフティングをエンターテイメントに昇華させているという意味でとても素敵なチャンネルなのです。特にギフティングを頂いた時の突発的なリアクションが面白いんですよね。突発的に生まれることがライブならではの魅力ですので、リスナーさんも面白がって何度も投げてくださいます。何回も楽しみたいので、少額をたくさん投げる、みたいな楽しみ方をされる方もいます。
<MR.MONDOさん>
ギフティングやチャットが飛んできたときには、実は動きをつけてリアクションしてるんですよ。音声配信だからその姿はリスナーさんには見えないんですけど、カメラがあると逆に恥ずかしくて見せられないので(笑)。そういう姿を音声から想像して楽しんでいただけているのかもしれませんね。
※下の動画はライブ配信アプリCHANCE!で視聴者からのギフティングが届き配信者が反応している様子です。配信者によって突発的なギフティングへの反応が違います。ギフティング一つでもそれぞれに個性が現れていて、ライブ配信が盛り上がる一因かもしれません。
ーー「クリエーターエコノミー」という文脈で「ギフティング」で収益を得る仕組みについて議論されることがあります。
<梶原さん>
収益還元の選択肢をたくさん用意することがstand.fmの差別化のポイントのひとつです。ラジオだとスポンサーがいないとつづけられないですが、stand.fmを使って個人のファンの方が支援することでライブ配信を続けていくことができるという点は、クリエイターにとってはとても大きいです。
※クリエイターを支援するファンたちが作る経済活動圏をクリエイターエコノミーと言います。クリエイターエコノミーについてっもっと知りたい方は、こちらのコラムをご覧ください。
コラム:クリエイターエコノミーとは?基礎知識とクリエイターエコノミーを作るためには
画像をクリック↑
ーー記事をご覧になっている方は「どうやったらギフティングをもらえるのか?」悩んでいる人もいます。どうされているのか秘訣を教えてください!
<MR.MONDOさん>
ズバリ、オーバーリアクションでしょうか(笑)。
<梶原さん>
他のライブ配信のプラットフォームだと、クラウドファンディングに近かったり、何かオーディションがあって「何かに向かってギフティングする意味がある」というものだったりもしますが、stand.fm、また、MR.MONDOさんのリスナーさんは、純粋に「配信者に喜んでほしい」という気持ちでギフティングを送っているように思います。
ーープラットフォームとしてギフティングの仕組みづくりや工夫をされたりとかはあるのでしょうか。
<梶原さん>
できるだけリラックスして配信してくださいね、とお伝えするようにしています。stand.fmでは、視聴者数は配信者だけ数字がわかるようにする、配信者やチャンネルに「ランキングをつけない」ということをやっています。配信者の方が変に意識したり、プレッシャーを受けずに、リラックスして気軽に配信できるように工夫をしています。
さらに、期間限定で季節にあったギフトを登場させたり、メンバーシップ購読者限定のギフトなど、提供するアイテムの種類を広げ始めています。
ーーstand.fmの個性や強みというのはあるのでしょうか。ターゲットは定めていますか?
<梶原さん>
どこでも気軽にライブ配信ができる、収録もライブもどっちでもできるというのはポイントになっていると思います。あとは配信者のジャンルを選ばないようにしています。いい意味でコンテンツに「色がついていない」のが良いと思います。リスナーのターゲットも作らずに「幅広く」というのが特色です。リスナーさんには50代60代の方も多く、ラジオに親しんで来られた方が、自分も音声ライブ配信をやってみようかということで始められて「おかげで友達ができました」というような嬉しいお話を聞くこともありました。誰でも気軽に始められる音声配信の良いところかなと思います。
ーー初めての音声ライブ配信をされる方へアドバイスがあれば教えてください。特に今回100回記念、2周年ということで欠かさずライブを続けておられますが、続ける秘訣はありますか?
<MR.MONDOさん>
続けようとがんばったことはないです。気負いはなかったです。それが大事だと思います。最初から気合いをいれすぎたり、続けるためにどうしたらいいか、なんて考えると余計にしんどくなるのではないでしょうか。「がんばって」やるものでもないし、誰かに頼まれてやるものでもないと思うんですよね。ライブ配信をすることで音楽だけやっているのでは味わえない奇跡を味わっていると感じているので、楽しく配信を続けています。
ーーライブ配信でファンを増やしていくためにはどうしたらいいかと悩む方も多いです。何かアドバイスをいただけますでしょうか。
<梶原さん>
配信に来ていただけるように、リスナーさんが目にするサムネイルや配信のタイトル・説明文が分かりやすくなっているか意識していただくということや、ライブ配信の告知をSNSで発信する、ハッシュタグを有効活用していただくことが大切だと思います。一番は配信の頻度を上げて、定期的に発信していただくようにアドバイスすることもあります。こういった方はファンがついていただきやすいです。
ーー音声ライブ配信で面白かったエピソードをご紹介いただけますか。
<MR.MONDOさん>
スペインツアーに行った時に、stand.fmのコラボ配信機能を使って、スペイン現地と日本を繋いで配信できたのが面白かったです。スペインで移動中の車の中から、そして飛行場の搭乗口の前でも飛行機に乗る直前までライブ配信をしていました。スタジオ収録だとこういった面白みは絶対に出せないので、今でも思い出に残っています。
あとは、公開収録で実際にリスナーさんに会った時が印象的でした。音楽のライブ活動だと、お客さんの名前と顔が一致するということはなかなかありません。一方でライブ配信だと、チャットで発言してくれる「○○さん」というのがチャット内容を通じて「人となり」も含めて、配信者は結構覚えているものです。それで、公開収録があった時に自己紹介したのですが「あっ!あなたが○○さん!」という瞬間はとても面白いです。公開収録だと、リスナー同士も繋がれるので、本当に「ファミリー」みたいになるのですよね。リスナーのみなさんが主体となって自由に準備していただいて、公開収録のイベントを盛り上げてくださいました。
<梶原さん>
stand.fm企画で、お笑い芸人の「和牛」さんや「ジャルジャル」さんとのコラボ配信をやった時にも新しいファンの方が増えたきっかけになりました。コラボ配信の面白さもあると思います。
<MR.MONDOさん>
自分たちでゲストを呼んでコラボ配信をやる時もありますが、一番は緊張しないコラボ相手を呼ぶことがポイントです(笑)。
ーーお酒を飲みながらリスナーと楽しむというライブ配信を見たことがあります。お酒の力を借りて配信することで面白くなる可能性もあると思いますが、どう思われますか?
<MR.MONDOさん>
私は怖いです。余計なことを言ってしまいそうです。私は相当にお酒に強い方ですが、それでもシラフだったらもっと面白く話せただろうな、と思うことが多々ありますので、私はやらないです。ただ、その方が良い方もいるので、それはそれでアリだと思いますね。
<梶原さん>
利用規約ではそのこと自体は問題はありません。事例としてもあります。
ーーstand.fmにはライブ配信のアーカイブが残る仕組みがありますが、「あっ、しまった!」というようなことがアーカイブとして「残る怖さ」がある人もいるかと思います。
<梶原さん>
stand.fmはアーカイブに編集機能があります。配信者の方が「まずかったな」という部分をカットしてアーカイブすることができます。コンテンツ管理は配信者さんの責任になっています。
※編集できるのは配信時間が2時間のものまでです。
<MR.MONDOさん>
アプリだとアーカイブで何回も残り続けるので、「生きた証」が残る感じです。「生」がアーカイブされる、ということが大事だと思うのですよね。アーカイブのおかげで忙しいリスナーさんも他の用事をしながらの「ながら聞き」も可能になります。ほぼ聞き逃しても大丈夫な内容ですけどね(笑)
ーー最後に、「次の目標」について教えてください。
<MR.MONDOさん>
ないですね(笑)あえていうなら、楽しんで続けること、ということでしょうか。リスナーのみんなに面白がってもらえる前提で配信している自分達も楽しむ、ここに尽きるのではないかと思いますね。
みなさん、プロのミュージシャンのライブ配信ときくと、どんなイメージでしょうか。MCもうまくて、場を盛り上げるのがうまく、お話もうまいからライブ配信も得意なのだろうな、と思いませんか。私もキラキラのイメージで伺ったのですが、MR.MONDOさんはとても知性あふれる、そして落ち着きのある魅力的な方でした。そしてその落ち着いた雰囲気をお持ちのMR.MONDOさんが、楽しそうにライブ配信の魅力を語っていただいたのがさらに印象に残りました。
「儲かるから」とか「誰かに頼まれたから」配信するのではなく、「聞いている人が楽しい、配信する人も楽しい。そこに経済価値がついてくる」という当たり前といえば当たり前の、ライブの「忘れかけている本質」に気付かされた取材でした。今後のMR.MONDOさんのご活躍、そしてstand.fmという音声ライブ配信分野で生まれる「奇跡」が楽しみです!
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