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コロナ禍において、人と接触しない形での接客が重要視されています。
感染リスクを下げるため、対面によって商品を販売していた多くの企業がライブコマースを導入しました。
様々な企業が参入していますが、必ずしも成功しているわけではありません。
売り上げを伸ばすためには、あらゆる工夫が必要です。
ライブコマースを実施している企業の中でも、アパレルショップであるBeamsは順調に成果を出しています。
このコラムでは、Beamsライブコマースの実態について、成果や課題も含めて紹介いたします。
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Beamsは、新型コロナウイルスが流行し始めた2020年3月に、初めてライブコマースを実施しました。
これだけすぐに導入できたのは、コロナ以前から既にECに力を入れていたためです。
2016年からインターネット向けの情報発信やコンテンツ作成に取り組んでおり、2019年からライブコマースの準備に取り掛かっていました。
本来はもっと後に開始する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、外部のITシステムを使って急遽実施に踏み切ったのです。
EC全般を担当しているのは、同社の事業企画本部コミュニティデザイン部。
約60人でECの運用管理やカスタマーサポート、スマートフォンのアプリやネット広告の運用などを手掛けています。
同部署によって実施された初のライブコマースには、「FORZA STYLE」で知られるBEAMSクリエイティブディレクター中村達也さんと、「BEAMS F」のディレクター西口修平さんが出演し、大きな話題を呼びました。
初のライブコマース配信では、様々な工夫が施されました。
パソコンから視聴する場合は、ページ左部の縦長の画面でライブの様子を表示し、紹介した商品から右側に販売ページのリンクを掲載するようにしたのです。
スマートフォンから視聴する場合は、それぞれが縦に並ぶようにしました。
媒体を問わず、動画を見ながらすぐに商品を購入できるため、視聴者の間では好評だったようです。
アイテムとしては、Vゾーン(スーツ、シャツ、タイ)の調和の取れたものや、時代性を強く取り入れたものを紹介。
視聴者の質問に対応しながら、写真だけでは伝えきれない生地感や細部のポイント、スタイリングを解説しました。
Beams初のライブコマースは、約1時間の配信で6,000人以上が視聴し、ライブコマースの配信ページを経由した収益を含むと100万円弱を売り上げるなど、大成功に終わりました。
想定以上の成果を上げ、ライブ感を視聴者に楽しんでもらうという目標も達成。
ライブコマースが、コロナ禍でも売り上げを伸ばし続けるためのツールとして有効であることを実証したのです。
しかし、配信における課題もいくつか見つかりました。
一つは、システムの問題でスタート時間が遅れてしまったことです。
ライブコマースにおいて、時間の厳守は重要です。
スムーズに配信を始めなければ、それだけ視聴者数が減ってしまいます。
もう一つの課題は、Eコマース在庫をしっかりと確保できなかったことです。
想定以上に注文が入り、在庫切れになってしまったのです。
ライブコマースでは、事前に視聴者数と購入者数をある程度予測し、在庫に余裕を持たせなければなりません。
これらの課題を解決すれば、更なる売上増加を目指せるのではないしょうか。
関連コラム:ビームスのライブコマースとは?Beams初で6000人!?
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Beamsはこれまで他社の配信プラットフォームを利用してライブコマースを行っていましたが、2021年4月からは自社開発した独自のシステムに切り替えました。
他社の配信プラットフォームは、カスタマーファーストの観点で設計されておらず、内製化するしかないと判断したようです。
自社システムの開発は、2020年の10月頃から開始しました。
主にコミュニティデザイン部がシステムのコンセプトや基本構造をまとめ、具体的なシステム開発は、専業のITシステム企業に外注しました。
Beamsのライブコマースシステムの特徴は、ライブ配信の視聴から商品の購入、決済までの手続きをワンストップでできることです。
他社の場合、既存の配信プラットフォームと自社ECサイトがリンクしておらず、ライブ配信中の購入手続きに手間がかかります。
そういった顧客のストレスを解消し、スムーズに商品を購入できるようにすることで、最終的に売り上げを伸ばせると考えたのです。
Beamsでは現在、週1回のペースでライブコマースを実施しています。
1回の長さは1時間程度で、複数のスタッフが配信を手掛けています。
商品の説明を行うスタッフが3〜4人で、動画撮影や配信システムを管理するスタッフを含めると、合計約10人で運用。
出演するスタッフは、身長の異なる数名をバランスよく入れるなど、より多くの人にコーディネートを提案できるよう工夫しています。
現在は本部主導で配信していますが、今後は社内でライブコマースのノウハウを共有し、各店舗から気軽に配信できるようにする予定です。
関連コラム:CHANCE!を使った配信マニュアル その4【ライブ告知、リハーサル編】
Beamsでは、裏方スタッフの育成に力を入れています。
独自のシステム開発だけでなく、配信を手掛けるスタッフの能力を向上させることで、より高品質なライブ配信を実現できるのです。
動画の撮影や編集のマニュアルを整備し、動画の分析も徹底。
社内講習会を定期的に開催し、積極的にノウハウを共有しています。
優れたコンテンツを制作したスタッフには”オンライン接客賞”を与える制度を設置。
金一封を貰えるだけでなく、社内管理ツールでそのスタッフの功績が全スタッフに周知され、人事の評価基準にも加えられるため、スタッフのモチベーションの向上に繋がっています。
Beamsは、実演スタッフをメディア化することで、自社の売上を伸ばしています。
ライブコマースでは、優れたファッションアイテムはさることながら、その魅力を余すところなく伝え、多くの視聴者に興味を持たれるスタッフの存在が重要です。
優秀な人材を見つけ出すため、動画の視聴者数やEC売上への貢献度などの指標に関して、約2500人のスタッフの順位をリアルタイムで表示するようにしました。
その結果、EC売上への貢献が年1億円を超えるスタッフも登場。
カリスマ性のあるスタッフにライブ配信をしてもらい、多くの新規顧客を獲得することに成功しています。
店頭での売上実績が高いスタッフはコミュニケーション能力があり、EC売上の貢献度も高いです。
配信中にファッションの知識をさりげなく織り交ぜる能力も、視聴者の評価を大きく左右します。
したがって、コミュニケーション能力があり、ファッションの知識が豊富な人材を実演スタッフとして起用し、メディア化することが大切なのです。
Beamsはこういったライブコマースを成功させるためのポイントを把握し、実践しています。
出典:https://live.beams.co.jp/channel/7/108/view
関連コラム:ライバーって?ライバーに向いている人の特徴から事務所まで徹底解説
Beamsライブコマースの実態について、成果や課題も含めて紹介いたしました。
Beamsは、自社開発した独自のシステムを活用し、カスタマーファーストの配信を実施しています。
ライブ配信の視聴から商品の購入、決済までの手続きをワンストップでできるプラットフォームは他にありません。
裏方スタッフの育成に力を入れ、実演スタッフをメディア化することで、成果を上げ続けています。
たとえ良い商品があっても、どうすれば多くの人々に配信を視聴してもらえるかを考え、工夫して実践しなければうまくいきません。
アパレル業界は特にBeamsのやり方を参考にして、ライブコマースを上手く活用する機会を狙うのはいかがでしょうか。
ぜひ、「ライブコマースのアパレル事例」も合わせてご覧ください。
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