市場に刺さる商品開発のステップを解説！効率化の方法や成功事例も紹介

カテゴリ：最新ビジネスの実態　更新日：

新商品を開発する際には、効率的なプロセスと具体的な事例を知ることで成功の確率を大きく高めることができます。

本記事では、中小企業の経営者や新規事業担当者の皆様を対象に、商品開発の具体的なステップ、効率化の方法、そして成功事例を紹介します。

また、昨今注目されている「共創」や「オープンイノベーション」によって、社外と連携しながら商品・サービスを開発する方法についても紹介します。

商品開発のポイント：アンゾフのマトリクス
商品開発のステップ
成功する商品開発のポイント
社外と連携（共創）し商品開発を行った事例
- ファイテンショップ：視聴者やライバーとコラボをしてオリジナル商品を開発
- 老舗和菓子店「菓匠禄兵衛」：視聴者と一緒に新商品アイデアを生み出すライブ
まとめ

商品開発のポイント：アンゾフのマトリクス

商品開発の目的や状況によって、進め方やポイントは大きく異なります。ここでは、「戦略的経営の父」とも呼ばれるイゴール・アンゾフ（1918-2002）が生み出したフレームワークにもとづいて戦略をつくることをおすすめします。アンゾフは、成長戦略を「製品」と「市場」の2軸におき、それをさらに「既存」と「新規」に分けました。

4つのパターンそれぞれに適したアプローチが必要です。市場のニーズを的確に捉え、限られたリソースを効率よく活用することで、成果を最大化できるようにしましょう。以下では、それぞれのケースにおける具体的なポイントを詳しく解説します。

既存製品×既存市場は「市場浸透戦略」

ここでは商品開発は行いません。いままでの市場に、既存の製品やサービスを投入して、売上高や市場シェアの拡大をめざす戦略です。製品の認知を上げたり、購入意欲を高めたりすることが大きな課題となり、戦略の主な目的になってきます。

新規製品×既存市場は「新製品開発戦略」

いままでの市場に、新しい製品やサービスを投入して、売上を拡大しようとする戦略です。ここでは「商品開発」が必要です。既存市場のニーズに対応した製品やサービスを開発し、さらに競合と差別化を図ることができるかどうかが重要なポイントです。

商品レビューやサポート窓口へのフィードバックを活用して、改良が必要なポイントを特定します。そのうえで、使用シーンを広げる提案を行い、商品に新たな付加価値を持たせる方法を検討しましょう。

既存製品×新規市場は「新市場開拓戦略」

既存の製品やサービスを新しい市場に投入して勝負します。細かな改善・改良をする場合はありますが、大幅な商品開発は行いません。

もともとの商品力はもちろんですが、営業力・販売ネットワーク等の「売る力」が勝負を左右することも多くなります。既存製品の海外進出・海外展開は、新市場開拓戦略の一例と考えることができます。

新規製品×新規市場は「多角化戦略」

新しい市場に新しい製品やサービスを開発し、投入する戦略です。多角化戦略は、ほとんど経験のない市場で新製品を投入するため、マーケティングのコスト、製品・サービスの開発コストがかかるなどのリスクがあります。リスクがあっても新しい収益源を求める時、または求めなくてはならない時に、ハイリスク・ハイリターンの多角化戦略をとります。

この場合、まず市場のトレンドを分析することから始めるのが重要です。業界レポートやSNSで話題の商品をチェックし、ターゲットとなる顧客層が抱える課題を特定します。アンケートやインタビューなどの調査を活用して、顧客の潜在的なニーズを洗い出しましょう。

商品開発のステップ

商品開発には、いくつかの重要なプロセスがあります。これらのプロセスを一つずつ丁寧に進めることで、成功する商品の可能性が高まります。それぞれのステップでは、市場のニーズや顧客の声を的確に捉え、戦略的に行動することが鍵となります。

ここでは、商品開発の流れを具体的に解説し、実際にどのように実践すべきかを詳しくご紹介します。

市場の成長性を分析

新商品が属する市場の成長性を分析することは、商品開発の最初のステップです。市場が今後どの程度成長する可能性があるのかを見極めることで、より確実な戦略を立てることができます。

市場規模や成長率については、公的機関のデータや業界レポートを活用するのが効果的です。効率的に公的機関のデータを探す際したい場合は「まとも検索」をご活用ください。

加えて、具体的なペルソナを設定することで、ターゲットとなる顧客像を明確に描き出します。このプロセスを通じて、顧客が抱える課題や期待を深く理解することが可能です。

アイデア出し・企画作成

商品開発において、アイデア出しと企画作成は、商品の方向性を決定づける重要な段階です。このプロセスが不十分であれば、顧客のニーズを正しく捉えられない商品になりかねません。

アイデア出しでは、顧客の課題やニーズを深く掘り下げ、多様な視点から解決策を見つけることが求められます。また、企画作成は、それらのアイデアを具体的な計画として形にする作業であり、実現可能性や市場性を検証する基盤となります。

販売戦略の策定

商品のポジショニングや価格設定、販売チャネルの選定など、販売戦略の策定は商品開発における重要な段階です。

価格戦略を立てる際には、コスト構造を明確にし、ターゲットとなる顧客層に適した価格を設定します。また、オンラインとオフラインの販路を比較検討し、自社に最適なチャネルを選ぶことが成功への近道です。

試作品の製造

試作品の製造は、実際の製品化に向けた準備段階であり、非常に重要なプロセスです。迅速な試作開発を行うためには、3Dプリンターやクラウド型デザインツールなどを活用するのがおすすめです。

テストマーケティング

テストマーケティングは、製品の市場適応性を確認するために行います。この段階では、クラウドファンディングを活用して製品の需要を事前に測る方法が効果的です。また、SNSを活用して初期ユーザーからの反響をデータとして収集し、次のステップに活かしましょう。

最近では、ライブ配信を活用する方法も注目されています。社や顧客とリアルタイムで意見を交換しながら新しいアイデアを探ることができたり、オープンイノベーションを実現した事例もあります。

具体的な成功事例は当記事の後半でご紹介します。

テストマーケティングについては下の記事でも詳しくご紹介しています。

製品アイデアの精度を高めるテストマーケティング方法とは？成功率を上げる施策を紹介

製品化

製品化の段階では、品質とコストのバランスを保つことが求められます。製造コストを最適化するためには、複数のサプライヤーと交渉を行い、効率的な調達体制を構築しましょう。また、品質検査を徹底し、製品の安全性と信頼性を確保することも重要です。

リリース・マーケティング

商品のリリースに合わせて、効果的なマーケティング活動を展開することが求められます。ローンチイベントを計画することで注目度を高め、SNS広告を活用してターゲット層に直接アプローチしましょう。

成功する商品開発のポイント

商品開発で成功を収めるためには、具体的なプロセスを実践するだけでなく、開発の根底にある考え方や姿勢を見直すことが重要です。特に、ユーザーの視点を徹底的に取り入れることや、競合他社との差別化を明確にする取り組みが欠かせません。

このセクションでは、商品開発を成功に導くための重要なポイントについて、詳しく解説していきます。

常にユーザーの視点に立って考える

商品開発においては、常にユーザーの視点に立つことが不可欠です。顧客が実際に求めている価値を考え抜くことが、成功への鍵となります。現場で直接顧客の意見を収集し、UXデザインを重視した設計を行うことで、顧客満足度の高い製品を生み出すことができます。

ユーザーの声を直接聞きに行く

製品に対するリアルな反応を得るためには、ユーザーの声を直接聞くことが重要です。フォーカスグループを開催して具体的な意見をヒアリングしたり、定期的にアンケートを実施することで、改良すべきポイントを明確化することができます。

競合との差別化ポイントを作る

市場で競合と差別化された商品を開発することは、成功するための重要な要素です。USP（独自の売り）を明確化し、競合にはない特長を強調することで、消費者に選ばれる理由を提供します。

自社製品が顧客にどのようなメリットをもたらすのか、またそのメリットが他社製品とどのように異なるのかを具体的に示す必要があります。例えば、環境に配慮した製品設計や、地域特産品を活用したストーリー性のある商品などが考えられます。

社外ステークホルダーと連携する

自社のリソースだけでなく、社外のステークホルダーと共同で開発することで、今までにない独創的な商品・サービス開発につながるアイデアが得られやすくなります。アイデアだけでなく、他業種や専門家ならではの知識や技術が組み合わさることで、商品に付加価値をつけることも可能です。

社外と連携（共創）し商品開発を行った事例

ウェビナビが運営するライブ配信プラットフォームCHANCE!は、ライブ配信を通じた企業の共創と、コラボによる新たな価値創出を促進しています。ここでは、実際にライブ配信を通じて商品開発につなげている企業の事例を紹介します。

ファイテンショップ：視聴者やライバーとコラボをしてオリジナル商品を開発

パワーテープや磁気ネックレスなどプロスポーツ選手も愛用するアイテムを製造・販売するファイテンのアンテナショップ「ファイテンショップイオンモール鶴見緑地店」では、ライバーとライブ配信を行い、消費者の求めているニーズを聞きながらオリジナル商品の開発に活かしています。

開発中の試作品をライバーに送り、事前に商品を体感してもらいます。ライブ配信の中で、その製品を使った感想や「もっとこんな機能（デザイン）があると嬉しい」など率直な感想を共有してもらいます。それに対し、ライバーのファンからは「もっとこんなふうにしたらどうか」「自分だったらこんなアイテムがあると嬉しい」といった反応が直接コメントとして送られてきました。今まで企業がリーチできなかった層の課題やニーズが聞けたことで、全く異なる新たな商品開発の糸口が見つかったといいます。

ライバーとコラボして商品開発を行うファイテンショップの事例について、詳しくは下記記事をご覧ください。

共創の事例を紹介！ライブ配信を活用して成功するポイントは？

老舗和菓子店「菓匠禄兵衛」：視聴者と一緒に新商品アイデアを生み出すライブ

滋賀県の老舗和菓子屋「菓匠禄兵衛」とライバーがコラボして商品開発を行った事例をご紹介します。「笑顔になれちゃう和菓子を作ろう」をコンセプトに、視聴者と一緒になって新商品開発のアイディアを出し合いました。「ワインに合う和菓子」や「ぶどうバター大福」など、和菓子の基本を知らないからこそ出てくる斬新なアイデアによって、消費者のニーズを深堀りすることができました。